AI、人工頭脳は先進国の雇用の60%に影響を及ぼすと、IMF、国際通貨基金が予測しています。まあそんなもんだろう、と思って読み進むと、高度な仕事ほどAIの影響を受けやすく、社会の格差は広がるともいっている。これはのんびりしていられない、政策的な介入が必要です。日本政府はそんなことを考えないから、IMFに考えてもらうしかないかもしれません(AI to hit 40% of jobs and worsen inequality, IMF says. Jan. 15, 2024. BBC)。
AIはこれからの社会経済にどんな影響を及ぼすのか。
14日に発表されたIMF報告は、最初の部分は退屈です。
「AIは世界の雇用の40%に影響を及ぼし、一部の仕事は利益を受けるけれど、一部の仕事は消滅する」
当然でしょう。それは過去の産業革命でも起きたことです。オートメーションやデジタル化によって経済や雇用は一変した。でも今度のAI革命はこれまでと様相がちがう。
「高度なスキルを必要とする仕事がもっとも影響される」
影響は先進国でもっとも大きく表れる。
「先進国の雇用の60%はAIによって変わる。その半分はAIの恩恵をこうむるが、残り半分はAIに仕事を奪われてしまう」
賃金は低下し、雇用は減り、失業は増えるでしょう。
AIによる社会変動は、先進国が優位に立つ一方で、途上国がさらに出遅れて停滞するなど、格差を広げるおそれがあります。格差は先進国と途上国のあいだだけではなく、それぞれの国の内部でも広がります。
そこに世代間の格差も重なるとIMF報告はいいます。
「若い労働者はAIのもたらす変化にうまく適応できるが、年配の労働者にとってはむずかしい」
専門家のほとんどが、AIは今後さまざまな格差を広げると予測しています。
「その結果生まれる社会的な緊張を緩和するために、政策立案者は労働者の再教育を進めるなど、総合的、効果的な対策を立てなければならない」
IMFはすでに「AI対処指数」という基準を作り、各国の態勢を評価している。アメリカ、デンマーク、シンガポールなどが先頭に立ってAIへの態勢を整えているそうです。
こういう大きな状況を見て、ぼくはなるほどと思う。その一方で、どうでもいいことじゃないかという気もする。そうは思いながらも、「BBCが伝えたIMF報告」という確かな情報の断片で、自分の世界観を微調整します。いますぐ日々の暮らしに役立たなくても。ジャーナリストの習性です。
(2024年1月17日)