ドイツには「おれ、ソーセージ」という言い方があるそうです。
たとえばみんなでランチというとき、中華にするか、カレーかイタリアンかというとき、「おれ、ソーセージ」。何でもいいという意味です。ちょっと冗談っぽく、投げやりなニュアンスもこめて。
ドイツ人はいつでもどこでもソーセージばっかり食べている。それとおなじで、何か理由があるわけではなく、好ききらいに関係なく、どうでもいいなら「ソーセージ」っていうらしい。
それに、ちょっと似ています。
これ、メリル・ストリープ。
情熱的な恋人も偏屈なばあさんもバリバリのキャリアウーマンも、どんな役もみごとに演じる俳優。彼女とおなじように、これひとつあればどんな場面にも使えるツール。そういうたとえがデジタルの世界にありました。「USB-Cはケーブルのメリル・ストリープだ」というのです(Why USB-C Is the Meryl Streep of Cables. Oct. 28, 2022, The New York Times)。
パソコンやスマホをつかっていると、なんとかならないかとイライラすることがたくさんあります。そのひとつがケーブル。充電したりマウス、プリンタをつないだりするときのケーブルがたくさんあって、それぞれに種類がちがう。アップルとアンドロイドでもちがうし、古い機種のコードは新しいのに合わなかったりする。
どうにかしてほしい。
そう思っていたら、EUがこの問題を取りあげました。
デジタル機器をつなぐコードは、これからはできるだけ端子をUSB-Cに統一するというのです。
USBはA、B、C、3種類あるけれど、これから市場に出すデジタル機器は可能なかぎりUSB-Cにしようということですね。そうすれば資源のむだづかいにもならないし気候変動への対策にもなる。
USB―Cに、ケーブルのメリル・ストリープになってもらう。
ぼくもパソコンはUSB―Cを使っているけれど、世間の大部分はまだCになっていないから不便なことがありました。これからはUSB―Cの時代、少し楽になるでしょう。それに自分の使っているケーブルがメリル・ストリープだといわれると、なんだか楽しい。
どうでもいい話ですが。
メリル・ストリープさんが好きなもので。
彼女はトランプぎらいでもあるし。
(2022年11月24日)