代用肉の位置

 代用肉は健康にいいのか。
 いいに決まっていると思ったら、必ずしもそうでもない。ものによっては健康に悪い場合もあるらしい。要は、何のために代用肉を食べるのかです。目的によっては代用肉がいいこともあれば、そうとはかぎらないこともある。
 そのおおもとには、代用って、何の代用なのかという疑問があります。肉「もどき」じゃなく、植物タンパクでいいじゃないか。なぜ「もどき」なのか(Are plant burgers better than beef? Here’s how to decide. October 8, 2024. The Washington Post)。

代用肉(大豆タンパク製品)

 代用肉にもいろいろあります。
 牛や鶏の細胞を工場で増殖させて作った培養肉もあれば、大豆など植物タンパクから作った代用肉もある。混合品もあります。このうち議論になるのは、もっぱら植物タンパクでできた代用肉でしょう。
 代表格は大豆で、それ以外にヒヨコ豆やピーナッツなどたくさんの種類がある。植物タンパクの代用肉を食べればコレステロール値も血圧も改善され、心臓病や糖尿病の予防効果もあるらしい。総じて健康にいい。

 けれど、ほとんどの人は肉食をやめられない。
 その対策として登場したのが代用肉でした。植物タンパクにデンプンや塩分、脂質や添加物を加え、肉そっくりの食感に作りあげた肉もどきです。
 肉もどきは、超加工食品でもある。
 相当な塩分や脂質、保存料などを含む製品もあり、そうなると高血圧や糖尿病の原因にもなりかねない。代用肉が超加工食品になっては本末転倒です。

 代用肉メーカーもそこはわかっていて、塩分や脂質を減らすくふうをしている。
 そんなくふうをするくらいだったら、代用肉じゃなく「大豆タンパク」を売り出せばいいじゃないか、いや、たんに大豆でいいじゃないかという声も出てきます。
 植物がいい、でも肉はやめられない、だから肉もどき。堂々めぐりですね。

 ぼく自身は認知行動療法を心がけています。
 栄養というよりは、気候危機を考える。牛肉生産は、大豆栽培にくらべてケタ違いに地球温暖化を進める。アマゾンの熱帯雨林は牛肉のために伐採され、炭酸ガスとメタンガスは増えつづけ、夏の暑さ、洪水、天災はひどくなるばかり。そう「認知」すると、牛肉を食べるのはやめようという「行動」につながる。最近はほんとに牛肉を食べなくなりました。がまんしてるんじゃなく、食べる気がなくなったのはこの療法の効果です。
 いやそうなったのは、ただの加齢現象でしょうか。
(2024年10月18日)