数字に一喜一憂する

 アメリカの大統領選挙が大接戦です。
 11月5日の投票日までまだ2か月あるから、どうなるかはまったく予測できない。カマラ・ハリスさんに勝ってほしいけれど、いまの時点では五分五分でしょう。結局は負けてガックリするかもしれないけれど、それまで2か月、せいぜい楽しませてもらいます。

 楽しむといえば、まずは世論調査でしょう。
 ニューヨーク・タイムズによれば、ハリスさんは全国の有権者49%の支持をえて、46%のトランプさんを3ポイントリードしている。
 でも大統領選挙は単純多数では決まらない。激戦州の勝敗で決まります。注目の5州をみると、ハリスさんは2州で優勢、2州で互角、1州で劣勢と見える。

9月1日時点の世論調査(ニューヨーク・タイムズ、世論調査機関「538」などによる)

          ハリス   トランプ
 ミシガン州    ◯49%  47%
 ウィスコンシン州 ◯49%  48%
 ペンシルベニア州 △48%  48%
 アリゾナ州    △48%  48%
 ジョージア州   ✕48%  49%

 ハリスさんは勢いに乗っています。この勢いをいつまで持続できるか。
 とはいえ、数字をそのまま信じる人はいません。
 わかりやすくするために、ぼくが○✕をつけましたが、上記数字はすべて互角の△が妥当なところでしょう。

(Credit: Michael Vadon, Openverse)

 2016年の大統領選挙では、優勢まちがいなしとされたヒラリー・クリントン候補が落選し、世論調査の評判は地に落ちました。その後の世論調査は、電話集計がネット集計になり、回答しない人や回答そのものを吟味するなど、精度は上がっている。しかし主要メディアは1,2ポイントの差は誤差の範囲内と見ています。

 じゃあそんな不確かな数字を出しても、意味ないんじゃないか?
 冷静に考えればそうだけれど、でも人間ってこういう数字を追うんですね。一喜一憂してもむだだとわかりながら、ちょっとハラハラし、気になってしまう。
 世論調査は世論を正確に把握するものではなく、そのときどきの有権者の刹那的なこころもようの反映でしょう。その数字を見ながら、見るものがそれぞれにちがう意味を見い出す。そういうふうに見るべきものではないでしょうか。
 日本の選挙じゃないから、やや無責任ないい方にもなりますが。
(2024年9月4日)