ウクライナ軍がロシアへの反撃で、ついに主力部隊を投入したようです。
これから数週間で戦争は大きく変わるでしょう。その帰結によって世界情勢も大きく変わる。歴史の分かれ目です(U.S. Says Main Thrust of Ukraine’s Counteroffensive Has Begun. July 26, 2023. The New York Times)。
米国防総省の情報として、ニューヨーク・タイムズが伝えました。
日本時間27日朝の段階では、戦況は混沌としています。しかしウクライナの大部隊が動き出したことは確からしい。
米国防総省の複数の高官がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、ウクライナ軍は26日、数千人規模の大部隊がロシア軍の戦線への攻撃をはじめました。この部隊は西側の最新兵器を不十分ながらも装備し、西側の訓練を受けた、新世代のウクライナ軍です。
ウクライナ側からの発表はありません。しかしロシア側は国防省の広報が、ウクライナ・ザポリージャ地方の「オリヒウの南部」で大規模な激しい戦闘が起きているといっている。現地の司令部によれば、ウクライナは戦車や装甲車など100両を投入しており、それが事実ならウクライナの主力部隊が動き出したということでしょう。
ウクライナは6月はじめから、ロシアの防衛線に対する武力偵察をくり返してきました。しかしロシア側の地雷原で相当の損害を出し、前進を阻まれました。その後戦術を転換し、歩兵の手作業による危険な地雷除去作業を進めてきたと米メディアが伝えています。今回の大規模な動きは、こうした作業がある程度進んだ結果だったのでしょう。
ウクライナ軍情報筋は、今回の攻撃がもし成功すれば、1週間から3週間で結果が出るだろうといっています。
米政府高官は「これは大きな試験だ」といって、固唾をのんでいる。
試験に通れば、ウクライナはロシアに対し優位に立てる。通らなければ、長い苦難のときが待っているでしょう。朝鮮半島のように。
ぼくはいま、ナターシャ・ヴォーディンの『彼女はマリウポリからやって来た』という本を読んでいます。マリウポリはウクライナのアゾフ海に面した都市です。
ウクライナを含むユーラシア大陸は、ヒトラーとスターリンとその手先が跋扈する、恐怖と虐殺と飢饉の地でもあったのですね。そこでなおかつ、人びとはヒマワリの花を見ながら生きてきた。彼らは、島国に住むぼくらとはまったくちがう生存本能を備えているんじゃないか。
そういう人たちが、いまあの“ミニ・スターリン”に立ち向かっているんだろうか。
そんなことを思いながら、ウクライナからのニュースに目を向けています。
(2023年7月27日)