ロシアに派遣された北朝鮮軍は1万人規模で、クルスク地方で実戦に投入されすでに戦死者が出ているといわれます。
戦争への影響もさることながら、それで北朝鮮は見返りに何を得るのか。金正恩総書記は核兵器の先端技術を求めるでしょう。ロシアはそれを断われないのではないか(Kim Jong Un has sent North Korean troops to Russia. What’s in it for him? November 1, 2024. The Washington Post)。
北朝鮮はロシアに、これまで軍隊ではなく労働者を送りこんでいました。林業や建設業に従事する北朝鮮労働者は平均650ドル、約10万円の月収で、大半が国の貴重な現金収入になっていた。
戦争に派遣される兵士にも、当然給料が支払われるでしょう。それも月額2千ドルの高額になるかもしれない。兵士の派遣と武器弾薬の売却も含め、北朝鮮は年間数億ドルもの外貨をロシアからかせぐという推測もあります。
けれど外貨より重要なのが軍事技術です。韓国国防相は、北朝鮮がロシアから戦術核兵器や偵察衛星、大陸間弾道ミサイルや弾道ミサイルを搭載できる潜水艦など、「多様な分野での技術移転を求めるだろう」といっている。
とくに懸念されるのが、核弾頭の小型化技術です。米ヘリテージ財団の研究員は、北が小型化した核弾頭をミサイルに搭載できれば、「東アジアだけでなく北アメリカも射程に収め、北東アジアの安全保障の枠組みは根本的に変わる」といっています。
そうなると、専門家は日本と韓国の核武装を予測する。
日本の核武装は常識的にありえない。とはいえ日本が核兵器禁止条約を批准しないのは、国際的に見れば「いつでも核武装できる」オプションを保持していることになる。
一方韓国では核武装論がしだいに高まっています。
北の核がさしせまった脅威になれば、核武装論議は勢いづくでしょう。
そんなことを考えてしまうほどに、北朝鮮の動きは不穏です。
そこを、しろうとがあまり心配してもしかたがない。
むかし週刊誌で読んだジョークを思い出します。
「お父さんが世界平和を語ると、家のなかが暗くなる」
わけ知り顔に、えらそうに政治や外交、戦争や平和を語るおっさん、いやですよね。
そうならないよう自戒する。そのうえで、核武装したくなければ、あの北朝鮮に対してせめてできることってなんだろうと考える。それはぼくらよりずっと真剣に北朝鮮と向き合っている韓国をどう応援するか、できるか、ではないだろうか。
ハン・ガンさんの小説を読み、ほうれん草のチヂミでも食べながら、そんなことをときには考えてみたい。
(2024年11月6日)