野菜は火を通すと栄養が失われる、ナマで食べるにこしたことはないと思っていたら、かならずしもそうではないと知りました。加熱したほうが栄養的にすぐれている場合もある。「常識」はときどき見直さなければなりません(Is This Vegetable Healthier Raw or Cooked?. November 10, 2022. The New York Times)。
野菜調理の是非を論じたのは、オレゴン大学で栄養学を教えるエミリー・ホー教授です。教授は10種類の代表的な野菜について、生と加熱の差をあげていました。

・ほうれん草=加熱
ほうれん草にはシュウ酸が含まれ、シュウ酸はカルシウムや鉄分の摂取をさまたげる。野菜はゆでるとビタミンが若干失われるけれど、ほうれん草の場合はシュウ酸が減ってカルシウムや鉄をよりよく吸収できるので、総合的にはゆでたほうがいい。
ほうれん草はむかしから、ゆでて水につけ「えぐみ」をとるといわれてきました。あのえぐみがシュウ酸なのですね。
・にんにく=生
にんにくの独特の風味や味は、アリシンという成分がもたらします。アリシンは心臓病やがんの予防にいいとされるけれど、加熱で失われる。だから栄養的にはにんにくは生のほうがいい。
とはいえ、生では食べにくいし、炒めたほうが断然風味はいい。栄養よりは実用ということで炒める人が多いでしょう。

・にんじん=加熱
にんじんはカロテノイドと呼ばれる成分がある。リコピンやベータカロテンがカロテノイドには含まれますが、いずれも抗酸化作用のある大事な栄養分です。カロテノイドは加熱することで増えるので、にんじんは調理したほうがいい。
ただし調理の温度が問題です。高温の油で揚げるとカロテノイドは失われる。ゆでるか蒸すのが最上です。
10種類の野菜の、ほかのものについては以下のとおりでした。
加熱したほうがいいもの:セロリ、トマト、マシュルーム、インゲン
生のほうがいいもの:たまねぎ、ビーツ、ケール
食べ物の是非は栄養だけで決まるものではないけれど、身体にいいと思えば、何をどう食べるかが少しは変わります。最近の野菜は見ばえはいいけれど高価で、むかしの見てくれの悪い野菜のほうが栄養的にはいいんじゃないかと思うことはあるのですが。
(2026年4月24日)
