グーグルが蚊の撲滅作戦をはじめています。
殺虫剤を使うのではない。「不妊化したオスの蚊」を自然界に放出し、蚊の子どもができないようにする高等作戦です。それで蚊がいなくなるならこんないいことはない。蚊には申し訳ないけれど(Debugging: Google requests permission to release 32m mosquitoes in California and Florida. 1 Jun 2026. The Guardian)。

デバグ計画とよばれる蚊の撲滅作戦は、カリフォルニア州とフロリダ州にそれぞれ毎年1600万匹、計3千200万匹の「不妊化オスの蚊」を放すというものです。
オスの蚊は通常、人を刺さないけれどメスと交尾して子孫を増やす。デバグ計画で使われるのは、ボルバキア菌という細菌に感染させたオスの蚊です。この菌に感染したオスと交尾すると、メスの産んだ卵は孵化できない。蚊は子孫が作れずどんどん減っていきます。
ボルバキア菌は昆虫には感染するけれど、人間には感染せず害がありません。

すでにシンガポールで小規模な実験が行われました。ボルバキア菌に感染したオスの蚊を数百万匹放出したところ、ネッタイシマカを80から90%減らすことができた。この蚊が媒介する感染症のデング熱は70%減ったといいます。放出をつづければ、蚊はさらに減りつづけるでしょう。
昆虫を殺虫剤などで殺すのではなく、不妊化して減らす。
これは害虫駆除で以前から試みられた方法でした。日本では沖縄県の農作物に多大な被害を与えたウリミバエという昆虫が、不妊のオスを放出しつづけることで1993年までに根絶できた有名な例があります。
ボルバキア菌を使えば蚊を減らせると研究者は考えたけれど、これまで実現はできなかった。それをグーグル(正確にはアルファベット)傘下の企業がなしとげたのは、最先端のデジタル技術を生命工学と統合したからだといいます。
大量に培養してできた蚊を瞬時に正確にオスとメスに分離し、どこにどれだけ放出するかといった複雜な管理と判断は、デジタル技術がなければ実現できなかった。

(Credit: Marcos Teixeira de Freitas, Openverse)
グーグルのデバグ計画は今後、米環境保護局の認可をえて実施される見通しです。
残念ながらこの計画が対象とするのはネッタイシマカで、日本にはいない。日本はまた別の計画を考えなければなりません。
温暖化のせいか、最近の蚊は傍若無人です。外出して立ち止まるとたちまちたかってくる。去年ぼくは散歩していて蚊に刺され、歩いてるときにまで蚊に刺されるなんてと、驚いたことがありました。
デバグ計画のヤブカ版を、早く実現してほしい。
(2026年6月3日)
