結末まで楽しむ

 カマラ・ハリス、49%。ドナルド・トランプ、46%。
 ニューヨーク・タイムズの全国世論調査によると、もしいま大統領選挙があればハリス候補に投票するという人はトランプ候補よりわずかに多く、3ポイントのリードです。
 ただし世論調査には2.4%の誤差があるので、決定的とはいえない。注目すべきは、9月の調査にくらべて微妙にハリス候補が伸びていることです(Poll Finds Harris Rising as She Challenges Trump on Change. Sept. 29, 2024. The New York Times)。

 アメリカの大統領選挙は、毎日のように無数の世論調査が行われている。そのなかでタイムズ紙の「ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジ世論調査」は、もっとも注目度の高い調査のひとつでしょう。

 今回の数字は、9月26日から10月6日にかけ、全国3385人の有権者に電話で聞いています。そのためにかけた電話は30万件というから、膨大な回数をトライしたけれど、ほとんどの人が調査には応じなかった。まともに回答したというか、調査機関がまともな回答と判定した人はほんの一部だったようです。

 しかも誤差が2.4%。そんな調査、信頼できるんだろうか。
 と、しろうとは思うけれど、プロはそこからさまざまな情報を読み取ります。
 ただ数字を見るのではなく、数字の「変化」が大事らしい。たとえば今回の調査を、その直前に行われた「激戦州」での調査と比較する。世論調査の専門家は、「これらの結果から、ハリス候補が選挙で決定的に重要とされる候補者の人柄や信頼度、変貌といった点で小さくとも得点があったことを示している」といいます。
 結果を予測できなくても、選挙戦がどう変化しているかが世論調査でかなりわかります。

 すると、微妙だけれどハリスさん、上向いているんだ。
 逆にトランプ陣営は変化がない、息切れしてるんじゃないか。
 ハリス善戦と考え、トランプ候補に偏見を抱いているぼくはほくそ笑みます。

 もちろん11月の選挙で、結局はトランプ候補が勝つかもしれない。
 そういう暗黒の日が来るまでは、カマラ・ハリスさんが勝つものと思いこんで彼女の健闘を楽しみたい。

 大統領選挙は単純な得票数ではなく、州ごとの選挙人の合計で決まります。
 前回の調査でタイムズ紙は、11月の選挙の結果、獲得選挙人の総数はハリス270、トランプ268になる可能性もあるといっていました。
 史上最高の接戦です。
(2024年10月10日)