環境にいいクリスマスツリーは本物の木か、プラスチックか。
そりゃ本物がいいに決まってるだろうと思ったら、そうでもないんですね。プラスチックは何年もくり返し使えば環境への負荷は少ない。逆に本物の木は、毎年新しい木を切っていると環境に悪いこともあるようです(Are real or artificial Christmas trees better for the environment? November 25, 2022. The Washington Post)。
アメリカのクリスマスツリーに生木が多いのは、家にスペースがあるからでしょう。ぼくもバージニア州で暮らしていたときは毎年2メートル以上の木のツリーを飾りました。その季節になるとモミノキをトラックに積んだ業者が現れ、熱心な人は近郊の農場にモミを切りにいっていました。
まだ地球環境なんて考えなくてもよかった時代です。
本物とプラスチックとどちらがいいかは、扱い方次第のようです。
毎年クリスマスのたびに何百万本もの木を切ったら、森林環境が破壊されるんじゃないかと心配になるけれど、その程度で大きな影響はないらしい。問題は切ったあとをどうするかだと専門家はいいます。
クリスマスが終わってツリーをゴミに出し、燃やしてしまうのは感心しない。できれば回収して土木や水利工事などに使うのがいいようです。ニューヨークなどいくつかの都市は、回収したツリーを粉砕して「マルチ」と呼ばれる細片にしていますが、これを園芸や都市環境の整備に使える。燃やすよりはるかに環境保護になります。
一番いいのは根のついた木を鉢植えで買い、終わったら土に植える方法。これは相当手間がかかるし、できる人はかぎられるでしょう。
一方プラスチックのツリーは明らかに地球環境にはマイナスだけれど、何年もくり返し使えば事情は変わります。
生木のツリーが環境にいいといっても、育てるのに多くの水や化学肥料を使い、輸送や処理に化石燃料も使う。それを毎年くり返すより、ひとつのプラスチック製品をずっと使ったほうがいいという計算もある。おなじプラスチックのツリーを5年くり返して使えば、生木を5本切って燃やすより環境負荷は少ないという調査結果があります。でも条件を厳しくして調べると、その期間は20年にもなるらしい。
20年。そんなに長期間、おなじプラスチックのツリーを使うだろうか。
子どもたちがサンタクロースを信じるのはほんの数年です。だとすれば、やっぱりプラスチックより生木でしょうか。それも小さめのを。
(2022年11月29日)