軍事クーデターが起きてから3年目を迎えたミャンマーでは、いまも内戦がつづいています。武装蜂起した反政府勢力はかなりの犠牲を出しているらしい。民主勢力を支援する人びとは各地で抵抗のサインである3本指を立てているけれど、見通しは開けません。政府軍の攻撃は、人びとの抵抗する気持ちをも脅かしているとBBCが伝えています(Myanmar: Air strikes have become a deadly new tactic in the civil war. February 2, 2023, BBC)。
ミャンマーで何が起きているかはほとんどわからない。BBCは民間団体や現地への電話取材で実情を捉えようとしていました。
取材対象のひとつは、去年9月16日、ミャンマー中部のレエットコン村で起きた小学校爆撃です。ふだんと何の変わりもないこの日、240人の学童のいる学校が突然2機のヘリコプターで爆撃されました。子どもたちと先生は逃げたけれど、30分におよぶ集中的な爆撃で校舎は破壊され、7歳児ら4人が死亡、十数人が重軽傷を負いました。このあとやって来た地上部隊が、村の少年ひとり、大人6人を射殺しています。
なぜこんな爆撃があったのか、村人にはわからない。ありふれた村で、反政府ゲリラがいたわけでも反政府活動をしていたわけでもなかったから。
でもこれは政府軍の攻勢が新しいレベルに達したことを示しているとBBCは指摘します。ゲリラの情報があったり反政府活動があったりしたら、まず空から攻撃する。空爆で大きな被害を与えたあと、地上部隊が展開する。これで敵対する反政府勢力に大きな被害を与え、優勢に立つというのです。
民間団体Acledによれば、軍事クーデターが起きてから2023年1月までの2年間に空爆は急増し、ミャンマー軍は少なくとも600回の空爆を行いました。対する反政府勢力は、ヘリコプターや戦闘機への反撃手段を持たないので、圧倒的に不利な状況です。
こうした状況をもたらしたのは、ロシアと中国でした。
かつて空軍力などほとんどなかったミャンマー軍に、クーデター後、ロシアと中国は積極的な軍事援助を進めています。「空飛ぶ戦車」といわれるヘリコプターMi-35や戦闘機MiG26など、いまや政府軍は70機の軍用機を持っている。これがひんぱんに反乱軍の掃討に使われ、効果をあげるようになりました。
ロシアと中国はここでもまた、軍政を支援し自由を求める人びとを追い詰めています。
ウクライナとちがってミャンマーはほとんど情報が出てこないから、申し訳ないけれどぼくもつい忘れてしまいそうになる。せめて「3本指」くらいは覚えていなければ。そういうふうに覚えていなきゃいけないことがあまりに多すぎてかなわないけれど。
(2023年2月3日)