AIの暴走・補

 AIはなぜ人間をだますようになるのか。
 最新のAIは、人間が気づかない形で人間をだませるようになった。そうなったのは、人間にそなわった“人をだます本性”がAIの本性にもなっているからです。
 どうすればいいのか(‘If you build something vastly smarter than you, it better be on your side’: can we stop AI from deceiving us? By Snigdha Poonam. 1 Sep 2026. The Guardian)。

 解決策は、人間を熟知しながら、なおかつ「人間になりきらないAI」を開発することだと科学者はいいます。
 そのような別種のAIを考案しているのは、AI生みの親のひとりでもあるモントリオール大学のヨシュア・ベンジオ教授です。AIの本質である「深層学習」モデルを構築した教授は、こんどは「人間をまねするのではないAI」の数学モデルをつくりあげたといっている。
 そのモデルを発展させれば、既存のAIを監視する別種のAIができるかもしれない。最先端AIも、こうした監視AIのもとでなら安全に使えるのではないか。

ヨシュア・ベンジオ教授(Credit: Xuthoria, Openverse)

 おりしも9月12日、アンソロピックの創設者であるダリオ・アモディ氏が長文のエッセイを公表し、AI開発を一時スローダウンすべきだと提唱しています。これにオープンAIやグーグルも賛同を表明している(9月12日ニューヨーク・タイムズ)。

アンソロピック社のダリオ・アモデイ氏
(Credit: TechCrunch, Openverse)

 つまりこういうことです。
 開発中のAIがこの夏、人間の知らないところでほかのAIに侵入したことが発覚した。これはAIが、「人は人をだます」という人間の本性を機械のなかに深く埋めこんでいるからで、このようなAIを放置してはおけない。
 AIを安全に制御することは、もはや人間にはできなくなった
 迫る危機を前に、各企業は一時開発をやめ対策を考えようではないか。

 対策のひとつとしてガーディアン紙が報じたのは、既存のAIを監視する「人間的ではないAI」を開発しようというベンジオ教授の提案でした。
 それがうまくいくかどうかはわからない。けれど救いの綱になるかもしれない。

 AIに詳しくないぼくがこんなことを書くのはおかしいけれど、ことは重大だと思うからです。
 アメリカやイギリス、カナダの最先端の研究者、当事者がさまざまに「危機」を表明している。それを、彼らに直接取材しているガーディアンやニューヨーク・タイムズ紙の専門記者がくり返し伝えている。なにかがおかしいと思わないわけにはいかない。
 インフルエンサーではない、プロのジャーナリズムをぼくはまだ信じています。
(2026年9月14日)