フードロス、食べられるのに捨てられてしまう食品は、1日に10億食。
8億人が飢えているこの地球上では、食べ物の3分の1がゴミとして捨てられていると国連環境計画のレポートがいっています(UNEP Food Waste Index Report 2024)。
そのフードロス対策の先頭を、韓国が走っている。
ゴミとして捨てられる食品の98%をリサイクルしているというから、驚異的です。日本は約60%。隣の国がそんなに先を行くとは知りませんでした(South Korea recycles 98% of its food waste. What can it teach the world? August 9, 2024. The Washington Post)。
対策は、収集の段階からちがいます。
フードロスといっても、だいたいは食べ残しか生ゴミですが、韓国ではこれをフードロス専用のゴミ袋に入れる。袋は有料で、1つ15円くらいから。そして、さすがキャッシュレスの先進社会、マンションなどの住民はカードを使い、フードロス専用の収集口に投げ込みます。重量が自動的に計測され、月末に一戸ごとに請求が来る。
フードロス以外の、使い捨て食器やプラスチック、骨などを入れてはいけない。違反すると罰金です。
こうして集めたフードロスは、全国に300ある処理場でリサイクルされる。具体的には家畜のエサになるか、コンポストで肥料にするか、あるいはバイオガスの燃料となって発電に回されます。ゴミを発酵させてガスを作り、それを燃やして発電するわけですね。処理場にはそのための大きなサイロが林立している。
中部のテジョン市にある処理場では、毎日1万5千トンのフードロスを処理し、バイオガスで2万戸分の電力を発電する。日本だったら燃やすだけのゴミが、再生可能エネルギーになっています。
20年前に韓国が対策にとりかかったころ、フードロスの98%は捨てられていました。それがいま98%がリサイクルされている。同時に、地球温暖化対策も進めていることになります。日本はこれをもっともっと見習わなければいけません。
とはいえ、環境団体の専門家はいっている。フードロスの究極の対策は、フードロスを出さないことだと。余分なフードを作らない、買わない、出さない、食べない、残さない。これが肝心だといいます。まったくそのとおり。
韓国ではリサイクルは進んでいるけれど、フードロスそのものは減っていないそうです。日本もおなじでしょう。せめてレストランの食べ残しは持ち帰りを習慣にするとか、エコバッグとおなじようにドギーバッグ、持ち帰り用の袋が義務化されるくらいにならないものでしょうか。
(2024年8月14日)