乳児にピーナッツを

 ピーナッツ・アレルギーの原因と対策はわかった。
 ピーナッツを避けるのではなく、乳児の早期から与えればいい。
 といっても赤ちゃんに豆を食べさせるわけにはいかないから、母乳を与える母親がピーナッツやピーナッツ・バターを食べるなどすればいい。離乳食に何らかの形でピーナッツが入っていれば、乳児はピーナッツ・アレルギーにならない。

 これは常識だと思ったら、まだ日本ではこういう考え方が定着していない。
 ネットを見ると、ピーナッツ・アレルギーの原因はわからないとか、対策はピーナッツを避けることだ、というような説明しか見られません。これではピーナッツ・アレルギーは増える一方です。

 ぼくは去年もこのことを書きました(2023年9月14日)。大事なので一部を再掲します。
・・・アメリカ小児科学会は2000年、小児には3歳になるまでピーナッツを与えるべきではないと勧告しました。ところがピーナッツ・アレルギーは減らず、この勧告を撤回しています。2017年、米アレルギー感染症研究所がまったく逆の勧告を出しました。乳児は、生後4か月までにピーナッツに触れるべきだと。
 2015年、イギリスで、生後早い時期にピーナツに触れているとピーナッツ・アレルギーは劇的に減るという画期的な研究があったからでした・・・

 これはワシントン・ポストの報道でしたが、今回はニューヨーク・タイムズのコラムニスト、パメラ・ポールさんがまったくおなじことを書いています。
・・・アメリカ小児学会の勧告がまちがっていたのは、免疫の基本に反していたからだ。人は異物を避けるのではなく、接することで免疫を獲得する。ピーナッツ・アレルギーにならないようにするには、(免疫機構がおとなとはちがう乳児期に)ピーナッツに接触していればいい。乳幼児にピーナッツに触れさせているイスラエルではピーナッツ・アレルギーはほとんど出ていない・・・(The Medical Establishment Closes Ranks, and Patients Feel the Effects. By Pamela Paul. Sept. 19, 2024. The New York Times)。

「生後4か月まで」が、キーポイントです。
 免疫は年齢とともに変わる。生まれたばかりの乳児は、母乳にピーナッツの成分が含まれていても栄養として受けいれる。でも5才児になってはじめてピーナッツに接したら、危険な異物とみなし拒否反応、アレルギーを起こしてしまう。
 おなじことがピーナッツだけでなく、卵や小麦粉でも起きているのではないか。乳児期(4か月まで?)にこれらの食品に触れていれば、食物アレルギーはかなり減らせるはずです。
(2024年9月24日)