ぼくらがが捨てたゴミがインドネシアで燃やされ、ダイオキシンを出している。
この現象をどう読み解けばいいのか。あれこれ考えてしまいました(Toxic tofu? How plastic waste from the west fuels food factories in Indonesia. By Michael Neilson. 10 May 2025. The Guradian)。
ガーディアン紙の記事は、一見ささいな問題に見えます。
インドネシア、ジャワ島の東にあるトロポドという町で、豆腐を製造する業者がプラスチックのゴミを燃料にしている、有毒ガス、ダイオキシンなどが心配だというのですね。具体的な被害は確認されていないから、ことさら目くじらを立てることではないかもしれない。
でもそのプラスチック・ゴミは、日本やオーストラリアなど、先進国から送りこまれたものだというから、無視するわけにいきません。

先進国が、自分の国では処理しきれないプラスチック・ゴミをインドネシアに輸出している。輸出というより投棄です。そのプラスチックが、ガーディアン記者の目撃したところによれば、トロポドという町にある60か所の豆腐製造工場で大豆を茹でる燃料として燃やされているといいます。
もともと、燃料は薪を使っていました。でもトラック1台分の薪は130ドル、プラスチックなら13ドルだからみんなプラスチックを燃すようになった。トロポド一帯では、毎週70トンのプラスチックが燃されているといわれます。
かなりの量で、専門家は健康被害を心配している。
環境団体が調べたところ、プラスチック燃料で作られる豆腐には、0.15ミリから1.76ミリの繊維状となった微小プラスチックが高濃度で含まれていました。別の環境団体の調べでは、鶏卵に基準の48倍ものダイオキシンが含まれていたといいます。
ダイオキシンは免疫系やホルモンに害を与え、流産や不妊、胎児の異常を招く。そういう被害が出ているかどうか、いまはまだわからない。

インドネシア政府は規制を強めるというけれど、環境団体「エコトン」のリーダー、ダル・セトリーニ博士は、より大きな問題があるといいます。
ゴミ植民地主義です。
先進国が、自分の国で処理しきれないプラスチックや産業廃棄物を途上国に投棄している。これは途上国を搾取しているのとおなじことで、新しい形の植民地主義だというのですね。アジアやアフリカの多くの途上国が、そのような植民地にされている。
ひょっとして、ぼくが出すゴミも新植民地主義に加担しているのかと気になります。
(2025年5月12日)