プラスチック不妊

 不妊症は、微小プラスチックが一因ではないか。
 プラスチックのなかでも「永遠のゴミ」とよばれ、きわめて分解消滅しにくいPFASなどと呼ばれるタイプのものは、女性の代謝異常や不妊などを起こしているという研究が発表されました(New research links prenatal exposure to Pfas to later development of PMOS. 19 Jun 2026. The Guardian)。

 発表したのはハーバード大学のジファン・ワン(Zifan Wang)博士らのグループです。
 ワン博士らはアメリカの東海岸のボストンとその近郊にいる母と娘のペア322組を長期にわたり調べてきました。その結果、妊娠出産時の母親の血液中に「EtFOSAA」という微小プラスチックがあると、生まれた娘がPMOSと呼ばれる女性特有の疾患を発症する率が2.7倍高くなるといっています。
 PMOSという疾患は、「PFNA」というプラスチックでも起きるけれど、その場合は2.3倍になるということでした。

 EtFOSAAとPFNAは、ともにPFASと呼ばれるプラスチックの仲間で、「焦げつかないフライパン」の表面コーティングや油を通さない包装紙など、日常生活に幅広く使われています。いずれもフォーエバー・ケミカル、永遠のゴミなどともいわれ、自然界に放出されたものが微小な細片となって環境を汚染しています。食品や水道水などから人間の体内に摂取され、分解も排出もされることがありません。
 これまでの研究では、PFASはがんや先天異常、腎臓や肝臓に障害を起こす危険が指摘されてきました。これら微小プラスチックが、新たにPMOSとよばれる疾患を引き起こすとわかったわけです。

 PMOSというのは「多内分泌代謝性卵巣症候群」のことで、女性の内分泌や代謝が異常をきたし、排卵の停止や不妊症を引き起こすらしい。
 このPMOSという病気が、微小プラスチックを摂取した母親本人ではなく、その子である娘に高い率でみられるというのが、今回の研究でわかったことでした。

 PFASだとかPMOSだとか、ややこしい物質がややこしい疾患を引き起こている。しかもそれも世代を超える現象だから、とてもこみいった話です。
 とりあえず、プラスチックの一部が不妊を引き起こすと理解しておきましょう。

 プラスチックなしの現代生活は想像できません。けれどプラスチックの害もまた、無視できないレベルに達している。今回の研究で明らかになったのは、ぼくらはこれから生まれてくる世代にとりかえしのつかない害を及ぼしているのではないかということでした。
 まるでぼくらが、将来の世代に呪いをかけてでもいるかのように。
(2026年6月24日)