ボットはロボット、ループはくり返すこと。
ボットループは、ネット上のロボット、AIチャットボットが勝手にほかのボットとやり取りするようになり、人間がおいてけぼりになることです。
いまはまだごく一部の現象だけれど、ボットループはこれから広がる。人間はどうすればいいのか(Chatbots Are Pushing Us Toward a Post-Human Internet. Aug. 14, 2026. The New York Times)。

たとえば就活。
学生たちは多くの企業に申請を送ります。申請はグーグルのジェミニやアンソロピックのクロードのようなチャットボットで作るようになりました。必要事項を与え、何度か会話を交わせばチャットボットは完璧な申請書を作る。これを企業に送ればいい。
企業の側も、膨大な数の申請を人間が読んだりはしない。ボットが読み、どの学生と面接するかをボットが決めます。
ボットが申請し、ボットが選ぶ。これがボットループ。
ますます多くの人が、自分のすべきことをボットにさせるようになりました。
カリフォルニア州の教会で牧師をつとめるジャスティン・レスターさんは、ネット上に自分の「デジタルの双子」を作っています。いそがしいときは本人に代わってこの双子が教会員の相手をする。双子はどんな相談にも、牧師が答えるのとおなじように答えるといいます。やがて教会員も、自分の代理のボットを牧師のもとに送るでしょう。

テキサス大学のジャジン・ペイ博士は、だれもがAIのアシスタントを持つようになるといいます。アシスタントは本人に代わってメールを出し、飛行機を予約し、水道が壊れたら修理業者に依頼する。修理業者もそういう依頼をアシスタントのAIトに受けさせる。
ボットがボットとやりとりしてすべてが動く。
その行きつくところがユートピアかディストピアかは、答える相手によります。
ニューメキシコ州セント・ジョンズ・カレッジのサラ・デイビス博士は、AIが「スムーズにやってくれる」ことに多くの人がなれてしまうのを恐れています。AIのスムーズになれすぎると、人間は人間同士のあいだに起きる「予測できない出来事」に耐えられなくなる。「ともに立ち向かう」力を失ってしまう。
そうはなりたくない。
ぼくらは、スムーズさになれてはいけない。予測不能な存在でいつづけましょう。ザラサラな人間を、デコボコの人間関係を大事にしたい。
AIを考えるのは、ますます人間を考えるのに近くなってきました。
(2026年8月19日)
