夏休みがつらい親子がいます。
子育てが苦手の親や、障害のある子がいてふだんからたいへんな家族は、楽しいはずの夏休みが苦境になりかねません。この“夏休み問題”をどうするかが「浦河の子育て応援を考える会」で話し合われました。
ふだんだったら、子どもは学校に行き午後まで帰ってこない。放課後もデイケアに行く。その間、親は仕事をしたり休んだりできる。夏休みはそうはいかない。
「どうしたらいいか。ほんとに追いつめられた」
統合失調症で、ふだんから子育ても家事も十分にできない母親がいいます。朝から子どもが動きまわる。たえられない。子育て支援のメンバーやボランティアが子どもを連れ出してくれるとほんとに助かる。あれがなかったら倒れていた。

料理の作れない親がいます。外食やコンビニ弁当ばかり食べている家で、子どもはボランティアが作った料理を食べない。引きこもりの中学生は好ききらいが激しく差し入れの弁当に特別なくふうがいる。家から出してもらえない子もいれば、多動で家を出てしまい、走る車に石を投げてトラブルを起こす子もいます。
そういう子育てに苦労する9家族をこの夏、考える会は浦河近辺で支援してきました。
夏休みで頻繁に出てくるのが、「どこにも行けない」「ひま」「給食がない」「家族の疲弊」などのキーワードです。
北海道浦河町では20年前から考え、そういう支援の試行錯誤をくり返してきました。
子育て支援を、近隣の町もふくめみんなで考え、話し合おうというのが「浦河の子育て応援を考える会」です。去年6月の会合をこのブログでも書きました(2025年6月18日)。

ぼくがこの集まりに注目するのは、浦河の子育て支援のルーツが精神医療だと思うからです。精神の経験が、独特の子育て支援になっている。
はじまりは、知的、精神的な障害のある患者の子育て問題でした。いまではそういう枠にとらわれず、さまざまな親子、家族とさまざまにかかわるしくみができています。
そこでは、問題は親子にあるというより地域にあるという視点が生まれる。家族の問題をどれほど解決しようとも、その家族が地域のなかで暮らせなければ事態は開けません。精神医療の経験が、この視点をもたらしました。
だから浦河の子育て支援は、ゆっくりゆったり、一見場当たりで、「目覚ましい成果」がほとんどみえません。だけど安心だけはある。支援をされる方にも、する方にも。
精神科とおなじように。
子育ての夏休み問題を聞きながら、ぼくはそんなことを思っていました。
(2026年9月7日)
