戦争の背後では、こんなことが起きているのか。
ウクライナはドローンでロシア軍を食い止め、戦場の勢力図を変えました。その背後のドイツでは、ドローンをはじめとする兵器のロボット化、AI化が軍需産業の本質を変えています。平和な日本では想像のつかない変化です(Inside the Secret Factory That Supplies Ukraine’s War Drones. July 11, 2026. The New York Times)。
ニューヨーク・タイムズが初の「潜入取材」を行ったのは、最新鋭ドローンを量産するドイツの新興ベンチャー、「ヘルジング社」(Helsing SE)でした。
同社が製造するドローン「HX-2」は重さ12キロ、時速220キロの高速で飛行し、100キロ先の装甲車両、大砲や戦車も攻撃できる。AI搭載だからロシア軍の妨害無線にあっても自立飛行をつづけ目標を破壊できます。

(同社ウェブサイトから)
HX-2の強みは、搭載されているAI、ソフトウェアでしょう。ウクライナ軍が実戦で使いつづけ、大量の記録ビデオがフィードバックされ改良がつづいている。つねに性能が向上し、いまや標的の捕捉、破壊率が70%にもなるといいます。
しかもHX-2は1基1万7500ユーロ、約300万円。これで1機200億円する最新型戦闘機以上の働きをしてくれる。
おなじようなドローンを、世界中の中小企業、ベンチャーが競っている。けれどヘルジング社の強みはシリコンバレーと直結していることでしょう。主要スタッフはパランティール、テスラ、アップルやメタといった最先端のAI企業から移籍している。彼らの頭脳がウクライナ戦争でリアルタイムに鍛えられ、比類ない攻撃型ドローンを作り出しています。
たぶん、まったくおなじことが前線の向こう側、ロシアや中国でも起きているのでしょう。

ニューヨーク・タイムズは報道にあたり、ヘルジング社の場所を伏せました。所在がわかればただちにロシア諜報機関の標的になるからです。けれどヘルジング社は、かりに所在がわかっても1日で別の場所に移動し、生産を再開できるといいます。それほどかんたんな設備でHX-2は製造できる。HX-2の真の力はAI、ソフトだということでしょう。
ヘルジング社の工場には、「われわれの民主主義を守る」という標語があるそうです。むかしだったら死の商人といわれる企業が、民主主義の商人を自称しているわけです。
ところで、12日のニューヨーク・タイムズは「東京はロシアスパイの天国」と報じました。西欧を追われたロシアのスパイが日本に集結し、先端技術製品を大量に確保している。それを軍事に転用し、ロシアはウクライナ戦争をつづけられているというのですね。
これについては次回に。
(2026年7月13日)
