子どもにスマホやコンピュータを見せない。そんな人たちがいます。
まったく見せないのではなく、時間制限をしたり外遊びをさせることで、いわゆるスクリーン・タイムを最小限にとどめる。
そういう人たちがシリコンバレーに多いのは、彼らこそがデジタルの害を知っているからでしょう(Silicon Valley Executives Are Tech Fans. Just Not for Their Own Kids. By David Streitfeld. Aug. 18, 2026. The New York Times)。

シリコンバレーを30年にわたり取材してきた、デビット・ストリートフェルド記者が書いています。
巨大テック企業、メタのマーク・ザッカーバーグCEOはかつていいました。
「自分の子どもに、テレビやコンピュータの前に長時間すわっていてほしくない」
受け身でずっと動画ばかり見ているのは「いい結果をもたらさない」。
フェイスブックの創設にかかわったピーター・ティール氏は2024年、子どもが3歳と5歳のとき、スクリーンタイムを1週間に1時間半に制限したといいます。1時間半のスクリーンタイムは、一般家庭だったら1日、もしかしたら午前中だけでしょう。
「この分野にいる人の家族はみんなおなじじゃないか。そりゃ問題だという人もいるだろうけれど」

マイクロソフトの創設者、ビル・ゲイツ氏は、自分の子に14歳になるまでスマホを与えなかった。グーグル生みの親スンダー・ピチャイ氏は、息子に11歳まで電話を持たせずテレビも制限していたそうです。アップルのティム・クック氏は、甥にはSNSを使わせたくないといっていた。
メタやグーグル、アップルのような巨大テック企業の成功者たちは、自分たちが作るスマホやSNSを、自分自身の子どもには、少なくとも十代になるまで使わせない。乳幼児にスマホやテレビ、タブレット画面を見せるのは百害あって一利なしと熟知しているからでしょう。
とはいえ。
この記事から読み取れるのは、世の中の大部分の家庭は子どもをデジタルなしで育てることはできないということです。
スクリーンタイムをゼロにしたり、1週間に1時間半までに制限できるのは、シリコンバレーの経営者のような富裕層にかぎられる。一般家庭にとてもそんな余裕はないでしょう。
非富裕層、「99%」の家の子どもは乳児のときからスマホを見せられ、動画なしではいられない。そうさせられてしまう。
外遊びにふけるなんてぜいたくのきわみと、いずれなるのでしょうか。
(2026年8月24日)
