10年後、30年後、人びとはウクライナ戦争をどう見るだろうか。
厳冬期を迎え、戦闘が低下したところで考えます。
たぶんこの1年については、「ウクライナと西欧は油断していた。そのためロシアの侵攻を許したが、力を合わせてある程度まで反撃した」となるでしょう。
でもその後は?
最後はウクライナがロシア軍を駆逐し、勝利するのか。
それともロシアが底力を発揮し、ウクライナ政権を倒して大ロシア帝国を築くのか。
ここでどうするかが後世に問われることになる、というオピニオンがワシントン・ポストに載りました。ふつうならその程度の記事は読みません。でも書いたのがコンドリーザ・ライスさんだというので、おおこれは、と読みました(Time is not on Ukraine’s side. By Condoleezza Rice and Robert M. Gates. January 7, 2023. The Washington Post)。
正確には、ブッシュ政権で国務長官を務めたライスさんと、国防長官を務めたゲイツさんの連名のオピニオンです。でもこの論調は、あのライスさん主導じゃないか。
主旨は明快です。
自分たちはプーチンと渡りあってきたから知っている。彼に敗北という選択はない。
「彼は、時間がたてば自分は勝つと信じている。ウクライナを疲弊させ、いずれアメリカとヨーロッパの結束を崩し、瓦解させられると信じている。これがロシアにとって重荷であっても、過去にロシアはもっとひどい重荷を負っていたのだから」
プーチンのロシアを甘く見てはいけないと、プロの外交官は見通します。
時間がたつほど、ウクライナには停戦しろという圧力が強まる。けれど停戦しても、ウクライナは生存できないとライスさんたちはいいます。
「こうしたシナリオを避ける唯一の道は、ウクライナへの軍事支援と供給を劇的に強化することだ」
軍事の専門家でもあるライスさんたちは、具体的にいいます。これまで供給を控えていたドイツの主力戦車レパードなど、強力な装甲車両をいまここで供給しなければならない。
「1941年、チャーチルはいった。必要な道具をくれ、仕事はわれわれがする、と」
いままた米欧は意を決して、ウクライナに「道具」を渡さなければならない。
米欧のなかでは強硬派に属する主張でしょう。しかしあの“天才”ライスさんたちがいうなら、聞こうという気にもなるというもの。
このオピニオンに対し、ワシントン・ポストには1日で3762件の「読者の反響」が寄せられました。狂信的ではないアメリカの「古きよき共和党」からの主張です。
(2023年1月11日)