オリンピックは金もうけのしくみ。スポーツ精神はうわべにすぎない。
パリのオリンピック本部が汚職の疑いで捜索されたと聞き、またその思いを強くしました。冬季オリンピックを開きたいという札幌市は、まだ本気で招致運動を進めているんでしょうか。「汚れたオリンピック」を、札幌市民はどう思っているのでしょうか(Paris 2024 Olympics: French police raid organisers’ headquarters. June 20, 2023. BBC)。
BBCによれば、フランスの経済犯罪を捜査する専門機関PNFは20日、パリのサンドニ地区にあるオリンピック組織委員会の本部と、その出先機関など数か所を事前の予告なく訪れ家宅捜索を行いました。容疑となったのは、来年のパリ・オリンピックにかかわる施設の建設契約をめぐり、公金が不正に使われたということです。それ以上の具体的なことは、いまはまだわからない。でもこれは、日本だったらJOC、日本オリンピック委員会が家宅捜索されたようなものです。パリ・オリンピックも日本とおなじように、金まみれ、汚職まみれになるのでしょうか。
来年7月から8月にかけ開催されるパリ・オリンピックは、フランス・オリンピック委員会の委員長が先月突然辞任するなど、騒ぎがつづいています。莫大なカネが動くところでは、かならず見えない力が暗躍する。そういう風土のなかで、オリンピック委員会はいつしか法の網をかいくぐり、人権なんて顧みることもない「五輪貴族」の牙城になったかのようです。なげかわしいかぎりだけれど、そんなふうに見るぼくは少数派でしょう。大部分の人はオリンピック大好き、毎年でも開いてほしいんじゃないかな。
でもビミョーな変化は起きている。
そう思ったのは、4月に朝日新聞が行った世論調査の結果でした(4月3日デジタル朝日)。この調査によれば、札幌市が2030年冬季オリンピックを開催したいといっていることについて、賛成の札幌市民は38%、反対が47%です。市民の多数はノーといっている。札幌市民もようやく、こうした動きに冷めた目を向けるようになったのでしょうか。オリンピックそのものというより、そういう大イベントを「やろう、やろう」と踊る市長、大金を使いたくてうずうずしている行政に対して。
そうではあるけれど、札幌の「オリンピック推進市長」は4月の選挙で再選されている。
これは、カジノにノーを突きつけ、市長を落選させた横浜市とはちがいます。
だから札幌は2030年はあきらめるけれど、2034年に向けて再挑戦する、らしい。
姑息ですね。
姑息でもなんでも、オリンピックはしたい、させたい、もうけたい。そういう人たちが後を絶ちません。もうちょっと落ち着いた世の中にならないかなあ。
(2023年6月22日)