やった! よかったねー、きみたち。
地球温暖化を止めようと、州政府を訴えたモンタナ州の若者たちが裁判で勝ちました。裁判所が、温暖化に無関心だった州政府を憲法違反と認めたのです。特筆に値する出来事でしょう(Judge Rules in Favor of Montana Youths in a Landmark Climate Case. Aug. 14, 2023. The New York Times)。
「自分たちの未来を守ろう」と、モンタナ州の5歳から22歳の若者グループ16人が起こした訴訟については、このブログでも紹介しました(6月15日)。
彼らは、モンタナ州は憲法で、「現在と将来にわたる世代に清浄で健康な環境を維持し増進させる義務がある」と定めているのに、その義務を果たしていないといいます。化石燃料を燃やしつづけ、清浄で健康な環境を損い、自分たちの未来を奪っている、これは憲法違反だと州裁判所に訴えました。
モンタナ州地方裁判所のキャシー・シーリー判事は14日、州政府は気候変動について考慮しなければならないのに、一部の州の法律はこれに反しており憲法違反だと、基本的に若者たちの主張を認める判決を下しました。
原告のひとり、15歳のバッジ・バッスさんはいっています。
「記念碑的だ。完ぺきに美しい。こういう肯定的な動きがつづくといいけれど」
若者たちを支援する組織、OCT(Our Children’s Trust)の設立者ジュリア・オルソンさんも、気候危機についての画期的な判決だといいます。
「巨大な勝利だ。モンタナにとって、若者にとって、民主主義と気候にとって。ほかの訴訟でもおなじような判決が出るだろう」
アメリカではすでにハワイ、ユタ、バージニア州でもこうした訴訟が起きています。
とはいえ、これですぐに事態が変わるわけではない。敗訴したモンタナ州は、「気候変動についてモンタナ州に責任はない」といって最高裁判所に上告するはずです。若者たちの冒険はまだまだつづくでしょう。
コロンビア大学のマイケル・バーガー博士は、この裁判では何人もの科学者が証言し、その証言にもとに判決が出たことに注目します。
「これは気候科学の裁判でもある。燃料を燃やせば気候変動が起き、人びとはその害を受ける、そういうことが科学的な事実だと裁判所が認めたんですね」
今回の判決は、「気候危機なんてウソっぱち、陰謀だ」というアメリカの保守派にはボディ・ブローになるでしょう。
若者たち、よくやった、とほめてあげたい。
(2023年8月17日)