境界性パーソナリティ

 めずらしく、境界性パーソナリティ症の記事がありました。
 パーソナリティ症はかつて人格障害といわれ、20年ほど前からパーソナリティ障害に変わっています。いまはパーソナリティ症ともいわれる。
 パーソナリティ症のなかでもっともよく聞くのが境界性パーソナリティ症、BPD(Borderline Personality Disorder)です(What Is Borderline Personality Disorder? By Christina Caron. April 21, 2026. The New York Times)。

 精神医療が専門のクリスティーナ・キャロン記者が書いたのは、BPDの新情報ではなく、一般的な解説記事でした。要点は以下のようなものです。
・境界性パーソナリティ症、BPDは、人口の1.6%と推定される。
・激しく怒るなど情動が不安定で、しばしば人を「試す」問題行動を起こす。
・自己像が明確でなく、むなしさをかかえ、自傷や危険な行為に及ぶことがある。
・BPDは治療できる。治療の基本は薬ではなくセラピー。
・セラピーには、対話的行動療法(DBT)、転移焦点化心理療法(transference-focused psychotherapy)などがある。

 重要だと思ったのは、当事者グループが推奨されていたことでした。
 そのひとつが非営利団体の「エモーションズ・マター」(Emotions Matter)です。いわゆるピアグループで、BPDの当事者がともに語り合い回復を目指す。リーダーのデル・リオさんもここで1年ほど対話セッションを重ねたといいます。
「感情のパターンを認識し、より直接的なコミュニケーションができるようになった」
 人を試すのではなく、自分の気持ちをそのまま、すなおに相手に伝えられるようになったということでしょう。

 この記事を読んで感心したのは、全体のトーンがとてもポジティブなことでした。
 BPD、境界性パーソナリティ症は、症状を知り、自分を変えれば回復できる。そういっているようだけれど、これまでのぼくの「常識」はそうではなかった。
 かつて、ある精神科医にいわれたことがあります。
「ボーダー(境界性)! そう聞いただけで逃げ出す人、いますよ」
 治療しようとした精神科医が、逆にボーダーにつぶされてしまうこともある。
 ぼく自身、BPDと思われる人に振り回された経験が何度かあります。途方にくれたワーカーを見たことも、一度や二度ではない。
 その一方、BPDは治療できると明言する専門家がいる。
 BPDは、「性格」だから治しようがないと思っていたのはまちがいだったかもしれない。見方を変えなければいけないと思うようになりました。
(2026年4月27日)