再生可能エネルギーは太陽光や風力発電などでなじみがありますが、再生農業という言葉は知りませんでした。有機農業かと思ったら、少しちがう。
大規模化・工業化した現代農業ではなく、旧来の小規模な労働集約型農業でもない。「土」を大事にする農業というイメージです。これまでとはちがう「農業哲学」がヨーロッパでは進んでいるらしい(Nutrients in our food are declining. Can regenerative agriculture save it? 24 Jul 2026. The Guardian)。

再生農業(regenerative agriculture)は、日本でも味の素やサントリーなどの大手企業が取りくんでいます。味の素のサイトによれば、「土壌や生態系を整えながら安定した生産をめざす農業」ということになる。
自然農法、有機農業と似ているけれど、もっと科学的なのかも。大学レベルの研究者がたくさんいます。
再生農業に特徴的なのは「被覆作物」と「不耕起栽培」でしょう。
被覆作物は、土壌を覆って生えるクローバーやエンバクのような植物をさします。小麦や大豆などの「換金作物」を収穫したあとに植えつけ、土壌の侵食を防ぎ、土中の微生物を活発にさせる役割をはたします。
不耕起栽培は、土を耕さないこと。耕すのを最小限にとどめること。
土を耕すのは大昔からの人間の知恵だけれど、やりすぎてはいけない。耕作がすぎれば、一時的に作物は大きくなりたくさんとれるけれど、土の力はなくなります。
被覆作物や不耕起栽培は、土を守る。これが再生農業のキモです。もちろん化学肥料、殺虫剤などは使わないか、最小限にとどめます。

再生農業と通常農業とで、できた作物はどうちがうか。リンカーン大学での実践によれば、ケールの鉄分は22倍、ニンジンの葉酸が2万倍にもなったそうです。ミネラルを中心とする栄養分は、再生農業に軍配が上がるのではないか。
現代農業は見てくれのいいきれいな野菜を作るけれど栄養分は落ちるといわれる。再生農業はむかしながらの、栄養も力もある野菜を作れるようです。
だったらどんどん再生農業を進めてほしい。けれど、ぜいたくかもしれません。
やはりコストはかかる。再生農業に対するもっとも強い批判は、それで地球上の83億の人口を養えるか、です。
再生農業の側からは、できるという反論もある。けれど農作物を効率よく大量に作るには、大量の化学肥料、殺虫剤、機械化が必須なのかもしれません。
再生農業か現代農業か。二者択一でない議論はできないものでしょうか。
(2026年7月29日)
