コンポストを横目に

 花壇から雑草を抜いたら、それ、捨てちゃいけません。
 じゃあどうするの? コンポストにしなければいけない。ニューヨーク市でそんな規則ができました。抜いた雑草なんてゴミ袋に入れて捨てちゃえばいいだろう、とはいかなくなった。雑草も分別、しかもただ捨てるんじゃなくコンポストにする。そういう時代になりました(Mayor Proposes First Composting Mandate in New York City. March 27, 2023, The New York Times)。

 ニューヨーク市の新しい条例は、庭掃除などで出た枯れ葉や雑草、芝、木の枝などはコンポストに出さなければならないと決めました。これを今後1年半かけて段階的に順次実施します。実際には、庭の草木や刈り取った芝を捨てる市民は、道路脇の専用容器に入れて出しておく。その中身を市が回収するということになります。
 それだけなら大きな変化ではない。市民はこれまでも通常のゴミとして出していたものを、「コンポスト用」として出せばいいので。でもこれは「コンポストを進めよう」という、もっと大きな目標の手始めのようです。

 ニューヨークの活動家は10年ほど前からコンポスト運動を進めてきました。一部の地域で行われていた自発的なコンポスト分別収集を、このほど市が制度化して全域に広げることになったということのようです。違反したら最高約5万円という罰金付きで。
 こういう先進的なゴミ処理は、すでに西海岸のサンフランシスコではじまっていました。それをニューヨークが取り入れ、近くロサンゼルスのような大都市も導入するという流れになっている。そしてここが注目点ですが、より先進的なポートランドなどでは、庭から出た草木だけでなく、台所から出る生ゴミもコンポストにする動きがあるようです。これはけっこう手間がかかるし、実施にはさまざまな障害もある。でも進めてほしい動きです。

 ゴミ問題は、暮らしのなかでぼくらがもっともっと気を配り、手をかけなければいけないテーマのひとつで、コンポストは大事な流れです。なぜならコンポストを進めれば、それは消費ではなく循環になるから。より大きく見れば炭素排出を減らすことにもなるから。
 まず庭ゴミからはじめ、それがいずれ台所の生ゴミへと進んでいけばいい。コンポストを進めれば、そのあとにはゴミ問題の本丸、プラスチックがくっきりと浮びあがります。

 とまあ、そんなふうにコンポスト問題をながめながら、ぼく自身は申し訳ないけれどもまだコンポストに取りくんでいません。雑草は一般ゴミ、台所ゴミは燃やすゴミにしている。「これじゃいけない」って思うようになっただけ、以前よりマシかもしれません。でもそこからの一歩をどう踏み出せばいいのだろう。これは行政というより仲間がほしいところです。
(2023年3月30日)