アメリカが“気まぐれ”ではじめたイラン戦争は、もうすぐ終わる。
結局、何のための戦争だったのかまったくわからない。
世界経済は大混乱、70年代の石油ショックを上回る不況がこれから押しよせてくると、エネルギーや環境が専門のジャーナリスト、ジョナサン・ミングルさんが警告しています(Remember the Oil Shocks of the ’70s? This Is Going to Be Worse. Much Worse. By Jonathan Mingle. April 1, 2026. The New York Times)。
日本には200日分の石油備蓄があったけれど、ほかのアジア諸国にそんな余裕はなかった。石油節約のために、スリランカとミャンマーは石油を配給制にしている。フィリピンは週4日労働制の導入、バングラデシュは大学閉鎖といった措置をとり、インドでは料理に薪を燃やすようになったといいます。
IEA、国際エネルギー機関のビロール総裁は、「世界のエネルギー安全保障にとって、史上最大の脅威だ」といい、1970年代のオイルショック以上の深刻な事態に身構えている。

しかも、これは戦争が終われば回復するわけではない。
イランがカタールの天然ガス施設を攻撃したので、天然ガスの生産はガタ落ちです。復旧には3年から5年かかるという。またホルムズ海峡が封鎖され、タンカーが通れなくなって湾岸地帯の石油生産も止まっている。これが元通りになるには戦争が終わってから数か月から数年はかかるでしょう。
石油価格は高騰したまま、ずっとつづくということです。
こうした深刻な予測の一方で、今回の石油危機は1970年代とはちがうという認識もあります。70年代にはなかった太陽光や風力発電の「代替エネルギー」が広がっている。そのいい例がパキスタンでしょう。
2022年に石油価格が急騰したとき、パキスタンは危機におちいった。その経験から太陽光発電を進め、いまでは5年前の10倍、発電量の30%が太陽光になっています。これが、今回の石油危機を緩和している。
その上をゆくのが中国です。代替エネルギーへの戦略的な転換を進め、いまや代替エネルギー大国、イランの戦争による影響を最小限にとどめています。

今回の戦争は、「エネルギー安全保障」の概念をくつがえすでしょう。中東の安定は遠い先のことだから、オイルショックは必ずまた起きる。これを避けようとしたら、代替エネルギーの開発を本気で進めるしかありません。
代替エネルギーをもっとも軽視するトランプ大統領が、世界的な代替エネルギーの転換をもたらすという皮肉な結果になりそうです。
(2026年4月3日)
