移民排除の嵐が吹き荒れています。
世の中がうまくいかないとき、それを「だれか」のせいにしたがる。その「だれか」を「移民」にするのが、保守化する国ではやっています。
先頭に立つアメリカでは、移民がいなくなり人手不足が深刻化して老人介護施設が悲鳴をあげました。「移民、出ていけ」なんていっていると、歳とったときに介護してくれる人がいなくなるという話です(Senior Living Facility in Distress as Immigrant Caregivers Are Forced Out. July 20, 2026. The New York Times)。

介護の分野は、もともと人手不足でした。
業界団体AHCAなどの調査では、老人ホーム400か所のうち半分以上がスタッフ不足のため、新規の入居者を受け入れられないと答えています。ほぼすべての施設が、スタッフに残業や過重なシフトを求めていました。
そこに、移民排除が重なります。老人ホームで多くの業務をになっていた移民が、トランプ政権の弾圧でやめざるをえなくなっている。
一例としてあがっていたのが、シリアやハイチからの移民です。
内戦の混乱や震災で、この二国からは多数の難民がアメリカに来ました。彼らはオバマ大統領の一時保護措置で合法的に入国し定着しています。多くの移民が介護やケア、清掃、調理などの仕事につきました。
それがトランプ政権になり出ていけといわれている。影響を受ける人は100万人にもなるといわれます。

現場の窮状が、シリコンバレーにある高齢者コミュニティから伝えられていました。移民排斥の影響は深刻だと、施設を運営する責任者いいます。
「ひどい混乱だ。人間関係が失われ、生活がひっくり返ってしまった」
スタッフのひとりも、移民としての立場からいいます。
「私たちは特別待遇を求めてるわけじゃない。働きつづけたいだけだ」
合法的な移民を勝手に追い出すことはできません。けれど、滞在許可の更新に長い時間がかかるようにすれば、移民は仕事ができなくなりやめざるをえない。
移民の排斥は、こうして「合法的」に進められています。
いちばん困っているのは介護を受ける老人たちでしょう。
移民のせいで社会が悪くなるという人は日本でも増えているけれど、社会は移民がいなければよくなるというほど単純ではない。移民のいない社会は、衰退への道をたどるだけではないでしょうか。
(2026年7月24日)
