精神科的

大状況を見ながら

 精神病の治療は、患者の状態だけみていても進まない。経済や雇用、温暖化や環境など、世界の「大きな状況」も考慮しなければならない。 新しい研究が、このように主張しています。 ようやくそこまで来たかと、ぼくは膝を打ちました。 […]

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別種の狂気

 先週、フランソワ・トスケルについて書きました。 20世紀の南フランスで、前衛的な精神科を実践した精神科医です。鉄格子を廃止し、患者の束縛をなくし、医者と患者を対等な存在とみなしました。 イタリアが1970年代に精神科病

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辺境からの視線

 アール・ブリュットを正面から取りあげた美術展が開かれています。「フランソワ・トスケル:アバンギャルド精神医学とアール・ブリュットの誕生」と題する展示で、ニューヨークのアメリカン・フォーク・アート美術館でことし4月から8

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縁を切る

 アダルト・チルドレンからインナー・チルドレンへ、そしていまエストレンジメント(estrangement)、「縁切り」へ? 子ども時代のトラウマを抱える人が、「回復」するために親との縁を切る。 そんなことを治療の一環とし

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苦労はつづく

 おなじ苦労のくり返し。 まったくおなじではない。おなじ苦労をちがう人がになう。だから苦労がやむことはない。古い苦労はいつも新しい。 禅問答みたいですが、精神障害者の苦労のことです。  この10日ほど北海道浦河町に滞在し

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海の底を見る

 サトちゃん、とみんなに呼ばれていました。 4年前、自ら消えることを選んだ精神障害の当事者です。彼女が自分を消した場所を、今週ようやく訪れることができました。北海道浦河町から遠くない漁港です。 2020年の年末、サトちゃ

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科学はさておき

 SNSをめぐる論争がつづいています。 アメリカ保健行政のトップ、V・マーシー医務総監がSNSに強い警告を発し、SNSは若者の精神保健に有害というラベルを貼るべきだと提唱したことを書きました(6月20日)。これに賛否両論

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消えない記憶

 8年たっても、あの記憶は私を苦しめる。 精神科の患者が、強制的な身体拘束の経験をアメリカ精神医学会の総会で語りました。身体拘束を当事者が公開の場で語るのはきわめてめずらしいことです。そういう場面が設けられたことは、精神

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