イランの戦争はひとまずやんだけれど、ガソリンは高止まり、世界経済はひどい打撃をこうむったままです。
いったいあの戦争はなんだったのか。
トランプの“きまぐれの戦争”の本態を、ニューヨーク・タイムズのトーマス・フリードマンさんが総括していました(Thomas L. Friedman on the Clash at the Core of the Iran Deal. June 24, 2026. The New York Times)。

フリードマンさんはいいます。
この戦争は「タコ」だった。
タコはウオール・ストリートのトレーダーたちがいつもいっていることで、TACO、Trump Always Chickens Outの略、トランプは賭けでいつも「最後には降りる」。大風呂敷を広げ、子どもだましの恐喝をくり返し、逃げ出しておしまいです。関税でもレアアースでも、ウクライナやガザの戦争でも。
アメリカ国内で、イラン戦争はきわめて評判が悪い。これでは選挙に勝てないと、トランプ大統領はなんの成果もないままイランと停戦しました。
肝心かなめの「核問題」は未解決で、すべてはこれからの交渉しだいです。その交渉がどうなっているかは藪の中。アメリカ代表のバンス副大統領は、イランが「国連の査察官を受け入れるといった」というけれど、イラン側は否定している。

フリードマンさんは、外交の経験がないバンス副大統領はわからないといいます。中東はワシントンの反対だということが。
「中東で交渉を進めるとき、相手が個人的にいってくることには意味がない。意味があるのは公的な言明で、なおかつ彼らの言語で述べられたことだ」
イラン代表団のひとりがバンス副大統領に「英語でささやいたこと」には意味がない。
「中東はおもしろいところで、個人的にうそをつくが、公的にはほんとのことをいう。ワシントンでは私的にはほんとのことをいい、公的にはうそばかりだ」

そういう初歩的なミスは、トランプ政権のすべてが「ノービッド(no-bid)」だからだといいます。ノービッドはこの場合、専門家の意見を聞かないこと。自分の思いこみだけで決めてしまう。だから今回も、戦争になればホルムズ海峡が封鎖されると、CIAやペンタゴンの専門家が忠告したにもかかわらずトランプ大統領は戦争をはじめてしまった。その結果のみじめな敗北を、世界中が「タコ」といっている。
ノービッドがタコをもたらしたと、フリードマンさんは指摘します。
専門家の叡智に頼る度量が、トランプ政権にはないということです。
(2026年6月26日)
