土曜日、浦河ひがし町診療所デイケアのメンバーは夏祭りに出かけました。
「第58回港まつり」です。コロナのせいでここ2年中止だったのが3年ぶりの開催となりました。
デイケアのみんなで出かけた、といいたいところですが、実際に参加したのは7,8人。人数が少なかったのは高齢者が来なかったのと、デイケア・メンバーのなかに「人ごみが苦手」な人が多いせいかもしれません。
2日間の祭りの初日だったので、先着250人に配られる紅白饅頭がもらえました。さっそく会場のベンチで試食です。そのうえで、デイケア“3人娘”は、祭りといえば焼鳥でしょ、と屋台探訪に出かけました。長い列に並んで「手羽先餃子」などを買い、そろってその場で立ち食いです。
今回のまつりは、菅原貞子さんと鈴木恵美子さんという2人の“大物”が姿を見せました。かつて浦河赤十字病院の精神科に長期入院していた、何かと話題のメンバーです。8年前に病棟がなくなってからはグループホームで暮らしてきました。
菅原さんはまつりに来るのは初めてのようです。開会式で樽酒の鏡割りが行われると、「がんばれー」と手を振り、上きげんで会場のざわめきを楽しんでいました。一方鈴木さんは、樽酒は無料でふるまいますというアナウンスに、「飲んでいいの? 飲もうかな」と反応し、一緒に行った木村貴大ワーカーが一瞬「うっ」と目を泳がせました。でも鈴木さんはすぐに「やっぱりジュースがいい」といって木村さんを落ちつかせています。
診療所では前日、「菅原さんと鈴木さんがお祭りに行く」というので、「ほお、時代は変わった」とスタッフが感慨深い顔つきでした。かつて多くのメンバーが長期入院していたころは、とくに症状の重いメンバーを一般町民の集まりに連れていくのはかんたんなことではありませんでした。ワーカーと離れないよう、あいさつができるよう、ゴミを散らかさないよう、などなど、基本動作をSSTで練習するなどして出かけたものです。
それがいまは、とくに注意も練習もなしで菅原さんや鈴木さんが気ままに会場を動きまわり、焼きそばを楽しむこともできるようになりました。
それもこれも、退院し地域で暮らすようになったからです。
みんな、まつりの風景に溶けこんでいました。よくみればちょっとおかしいところもある人たちだけれど、ちょっとおかしいのは一般の町民もおなじでじゃないでしょうか。むしろメンバーには自然なおだやかさがある。そんなふうに見るぼくは、診療所文化に浸りすぎているかもしれません。
(2022年8月15日)