歳とともに記憶力は衰える。
これはしかたがないけれど、あきらめるのは早いという人がいます。神経学者のリチャード・レスタック教授が新著『記憶力完全ガイド 脳の力を伸ばす科学』で、どうすれば記憶力が守れるかを書いています(A Neurologist’s Tips to Protect Your Memory. July 6, 2022, The New York Times)。
そんなの無理だよといいたくなるけれど、レスタック教授のいうことにも一理はあります。記憶力を保つのにどんなことをすればいいか、ちょっと紹介しましょう。
・注意力を働かせる
パーティで会った人の名前が覚えられないのは、注意力を働かせないから。たとえば名前を映像と結びつけるといい。キングという名前だったら、王冠を想像して覚えるとか。
(これはよくわかります。ぼくは初対面の人の名前は「漢字」を聞くようにしています。漢字も一種の映像なので、結びつけておくと名前が覚えやすい)。
・毎日記憶力を鍛える
たとえば買い物リストを覚える。スーパーに行ったらすぐに買い物メモを取り出すのではなく、メモに何を書いたか思い出す。買い物がないときは料理のレシピを思い出すといい。いつも料理している人は作業記憶を効果的に鍛えている。
ときどきカーナビをやめる。2020年の研究によれば、カーナビに頼りきりの人は3年もするとそうでない人にくらべて明らかに空間記憶が低下している。
・ゲームをしよう
ブリッジやチェスは記憶力を維持する。もっと単純なゲームでも作業記憶は刺激できる。
・小説を読む
物忘れの初期の兆候は、フィクションからノンフィクションに関心が移ることだ。
小説のようなフィクションは、読みはじめてから最後まで登場人物や筋書きを覚えていなければならない。記憶のいい訓練になる。
このほかにもたくさんのアドバイスがあります。
でも教授、記憶力はともかく、もうそんなのどうでもいいという「意欲の低下」の方はどうすればいいんですか?
大丈夫、「問題があるようだったら、専門家に相談すること」と、教授は最後の方でいってます。年齢の限界も、わかってくれてるんですね。
(2022年7月26日)