幸福度のレポート

 やっぱり日本は幸福な国じゃないのか?
 20日に出た「世界幸福度レポート」を見て思いました。3月20日はなんでも「世界幸福デー」だそうで、この日に合わせて毎年国連がレポートを出している。ことし日本の幸福度は143か国中の51位、去年の47位より下がりました(ネットで「world happiness report」と入れれば見られるけれど膨大な資料です)。

 1位はフィンランドで、7年連続のトップです。
 2位以下はアイスランド、スウェーデン、デンマークとつづき、10位以内に北欧5か国とオランダ、ルクセンブルグが入っている。そこにイスラエルがまぎれこんでいるのが意外です。ガザの戦争があっても、イスラエル人はハッピーなんだろうか。
 先進国G7のなかでは、トップがカナダの15位、ついでイギリス20位、日本は51位で41位のイタリアより低く最低です。台湾は31位、中国は60位。
 落日の国にとって、幸福度51位は妥当なところでしょうか。

国連世界幸福度レポートの一部

 ことしのレポートでは、アメリカが前年の17位から23位に下がり、調査がはじまって以来はじめて「世界のベスト20から転落した」ことが話題になりました(Led by Its Youth, U.S. Sinks in World Happiness Report. March 20, 2024. The New York Times)。
 落ち込みは、若者を取りまく状況が悪化したからといわれます。国連レポートでは、60歳以上の人だけを見るとアメリカの幸福度は世界10位、でも30歳以下は世界62位です。この若者の落ち込みが、ベスト20からの転落を招いている。

 ハーバード大学の調査でも若者の精神保健は悪化しています。18歳から25歳の世代は他の世代にくらべて、人生の目標、自分への自信や価値観、社会とのつながりといった点でもっとも低い精神状態にある。これがアメリカ全体の幸福度を下げました。SNSの影響もあり、若者の、とくに十代女性のうつ傾向と不安は強まっている。

 アメリカの若者もたいへんだけれど、一方で不安や自信のなさを抱えるのは当たり前だという気もする。むしろそれを許さない社会の方が問題なのではないか。「幸福でなければいけなない」という強迫観念に、あまりに多くの人がしばられているのではないか。エリック・ウィーナーという作家はいっています。
「ぼくらには幸福に対する過剰な期待がある。幸福でなければそれは不幸だと思ってしまう。そんな国ばかりではないんだけれどね」
 国連の幸福度レポートは、順位だけ見ても意味はない。そこからなにがしかの考察や議論が導かれてはじめて意味を持つでしょう。ぼくは日本の幸福度が台湾よりだいぶ低いのはなぜか、誰か研究してくれないものかと思っています。
(2024年3月21日)