トマト作業

 夏の盛り、ミニトマトがどんどん実っています。
 浦河ひがし町診療所・デイケアのグループが、車で40分ほどのえりも町に出かけ、温室農園でミニトマトの収穫作業に当たりました。この夏2度めのトマト作業です。
 外気は23度くらいでも温室内の気温は30度以上、汗をかきながら、またしょっちゅう外に出て涼しい空気に当たりながら働きました。

 収穫するミニトマトはアイコという銘柄、広い温室いっぱいに鈴なりです。花粉で手がベトベトになりながら、ひとつひとつもぎ取ってかごに入れました。
 デイケアのメンバーは先週も一度、ミニトマトの収穫に来ています。そのときはみんな力が入り、たくさん取りすぎてしまった。真っ赤な実を取らなければいけないのに、赤くなりきっていない、オレンジがかった実をかなり収穫してしまったのです。その反省から、今回は「赤いのだよ、真っ赤なの」と声をかけながらの作業です。
 それが功を奏したか、前回よりだいぶオレンジ色っぽいのの収穫が減りました。

 トマトはデイケアの人気作業です。きょうも十数人が参加しました。すると例によって、2,3人はぶらぶら族です。農場まで来たけれどただ座っているだけの人もいる。働く人も、能率のいい人もいればそうでない人もいる。歩合制だったらたいへんな差がつきます。ところがこのバラバラ感がなんとも心地いい。それはこれがデイケアのプログラムで、金もうけじゃないからでしょうか。そうかもしれないけれど、それだけではない。働き方が不公平だなんて文句がまったく出てこない、この平和、この安心感はなんだろうか。

 ひょっとして、ながーい目で見たら、結局は一般企業もこういう働き方の方がいいんじゃないか。そんなことをぼくは思ってしまいます。最初から不公平が当然という働き方。あるいは不公平を不公平と思わない働き方。そういう働き方、生き方があるんじゃないか。そこでは誰も取り残されることがない。そういう世の中があってもいいのにと、妄想がふくらみます。

 きょう収穫したトマトのうち、粒ぞろいの高級品は特製のダンボールに3キロ詰めで出荷されました。えりも町のふるさと納税の返礼品になるそうです。収穫と同時に全国各地に発送されました。
 そのほか、プラスチック容器や透明な袋に詰められたミニトマトは、地域のスーパーやコンビニに出されます。実際に販売される商品なので、不良品がまじったらたいへんと、気を使ってチェックするメンバーもいました。

 結局2時間あまりで70キロ以上のミニトマトを収穫し、出荷したことになります。こんなにちゃんと働いたらいけないんじゃないかと、警戒の声が出ていました。
(2022年8月5日)