出口が見えない

 次の総理大臣は、スガか、アソウか?
 もしキシダさんが倒れ、次期総理を選ぼうっていうときにこんな選択しかなかったら、誰だっていうでしょう、ふざけるな、いーかげんにしろって。
 それが、いまのアメリカのムードであるらしい。
 来年の大統領選挙は「バイデン対トランプ」。いまは、それ以外の可能性がない。
 なんでこんなことになったのか。それはひとえにトランプさんのおかげです。もう終わったと思われていた人がじりじりとのしあがり、いまや10人以上いる共和党大統領候補のナンバーワン、ダントツの力を誇示しています。
 対する民主党は「トランプに勝つ」ことが至上命令、「だったらバイデンしかない」、それ以外の選択肢がありません。
 ということで、来年はバイデン対トランプ。

 アメリカの多くの有権者は苦り切っています。なんでこんなことになるのか。
 それは熱烈なトランプ支持者が変わらないからだというコラムを読み、ため息とともに納得しました( I thought the GOP would abandon Trump. I was wrong. By Gary Abernathy. July 17, 2023. The Washington Post)。

 G・アバーナシーさんのコラムを、ぼくなりにまとめるとこうなります。
・・・トランプは消えると思っていた。でも私はまちがっていた。トランプ支持者の思いを読み切れていなかったからだ・・・
 地方に住む高齢者、退職者、教会に行く人びと、高等教育を受けていない人びと、彼らがトランプを熱烈に支持している。彼らのなかにある強い怒りにトランプが火をつけた、というのが大方の見方でしたが、アバーナシーさんはそうではないといます。
・・・彼らはいうだろう。トランプは自分たちに希望をもたらした。彼だけがほんとに自分たちのことを思ってくれると・・・

 なぜトランプ支持者の熱が消えないのか、それは彼らのなかにあるのが怒りではなく、希望だから。
・・・自分たちの価値観を、頑固だとか時代遅れ、宗教右派などとバカにされてきた人びとを、トランプは元気づけてきた。世界はたいへんなスピードで変化している。そこで置き去りにされ捨てられないための、最後の、最善の希望がトランプなのだ・・・
 それは、希望なんかじゃない。ぼくはそういいたいけれど、そういうことじたいが彼らをバカにすることになるでしょう。
 消えることのない「希望」。アメリカ社会の病理は、日本社会とはちがう形で、しかしおなじような深さに及んでいます。
(2023年7月21日)