子育てにいい国

 子どもを育てるのに一番いい国はどこだろう。
 家族とともに海外に行く人は、誰もが一度はこの問題を考えたことがあるでしょう。もし自由に選べるとしたら、カナダが一番だろうか、いやオランダかフィンランドか。そんなことを、かつてあれこれ考えたことがあります。
 それが日本だといわれ、びっくりしました。
 子育ての場を自由に選べるとしたら、日本は最有力候補のひとつだとか。ほんとかな。ぼくの実感とかけ離れているけれど、ユニセフ、国連児童基金のレポートによればそうなのだとBBCが伝えました(The five countries expat families love. 8th February 2023. BBC)。

 記事のもとになったのは「場所と空間 環境と子どもの福祉」という、去年出たユニセフの報告書です。この報告は世界40あまりの、主として先進国の子どもたちの環境と福祉についてまとめていました。

ユニセフ報告書「場所と空間」(2022年)

 ユニセフによると、子どもの身体的な健康を子どもの死亡率や肥満率の低さという点から見ると、日本は各国を抜いてトップです。また都市の緑化率、交通の安全といった「子どもを取りまく世界」も先進国の2番目。しかも殺人の起きる率が10万人あたり0.2人で、アメリカの5.3人やカナダの1.8人、オーストラリアの0.8人をはるかに引き離し、ナンバーワンに犯罪の少ない安全な社会です。
 東京生まれでロンドン在住のマミ・スキャグさんがこういっていました。
「子どもは6歳くらいになると、ひとりで学校に行くんです。遠ければ電車やバスに乗って、ひとりで」
 それが当たり前なことが、海外にいる人にとっては驚きです。そんなことして大丈夫か、どうして犯罪に巻きこまれないのかと。

 ユニセフ報告をもとにBBCはさらに、「日本には世界でもトップクラスの教育がある。OECDの調査では76か国中の12位。両親の有給休暇も充実している」といいます。でもこのへんになると疑問がわく。何をもってトップクラスの教育というのか、日本の学校は子どもが自分で考える力を育んでいないのではないか、などなど。でもそれはまた別の議論としましょう。

 子育てに適した国として、BBCは日本のほかにエストニア、スペイン、フィンランド、オランダをあげています。こんな先進の4国と日本を同列に置いて大丈夫かといいたくなるけれど、たまには「すばらしい日本」という評価をすなおに受け止めましょうか。
 日本の学校の先生たちは、とても納得しないだろうけれど。
(2023年2月16日)