焼き芋

 先週土曜日はモーニングと焼き芋、ダブルのイベントでした。
 浦河ひがし町診療所のグループホーム、すみれⅢでは月に1,2度、ブランチのようなモーニングを出します。近所に住むメンバーや診療所につながる子育て中の親子など、いろいろな人が吸い寄せられるようにやってきます。

 この日は屋外に出て、新しくできたテーブルをはじめて使いました。
 長さ3メートル半、両側のベンチに10人が余裕で座れます。材料の板は川村先生が往診先で見つけ、トラックで運んだもの。
 ここで秋の陽射しを浴びながらの食事。サラダとパンとウィンナー。デザートにアイスクリームもありました。

 同時にその横で焼き芋です。
 今回はバーベキュー用の炉に炭をおこしました。担当は泉ワーカーとデイケアのメンバー、一度芋を火にかけたら、あとは屋内に入ってゲームに興じています。3ゲームほどしたら、ちょうどいい時間でした。
「焼き芋、できたよー」
 ぱらぱらとやってきた人たちが、ホクホクで熱々の焼き芋にありつきます。
 統合失調症のメンバー、発達障害やなんとか障害のメンバー、子育てに苦労している母親、その子ども、学校で苦労している子など、事情のある人がたくさんいます。そういう事情を誰も気にしない、気にする雰囲気がない。
 幻聴がひどくて途中から帰ったメンバーがいても、どうしたのなんて聞く人はいない。
 こういう場にいると、それが当たり前になります。自然です。

 何かの拍子に、この集まりの外側にある世間を考えると、世間の方が不自然でおかしく見えてしまう。不登校の子はここにいると何もおかしくないのに、学校に行くとおかしくなる。いや、おかしくされてしまう。それは学校がおかしいからじゃないか。そんなふうに思うぼくらがおかしいんだろうか。焼き芋を食べながら、とりとめもなく考えます。

 精神科医の川村敏明先生がつぶやきました。
 百年後の人が、いまのぼくらを振り返って見たら何ていうだろう。「そうか、百年前にここからはじまったのか」っていうんだろうか。
 ここから、おかしなことがはじまった。当時はおかしいと思われたけれど、百年後にはそれが当たり前になっている、そういう動きがはじまったところ。
 いつもの妄想を語りはじめる秋の午後、時間が止まります。
(2022年10月3日)