超加工食品

 超加工食品(ultra-processed food)という新語が出てきました。
 工業的につくられ、大量に販売される食品です。レトルト食品だとかスイーツ、マフィンやスナック、ソフトドリンクなどが例としてあげられます。
 ただちょっと加工しただけではない、かなりいろいろ加工している食品。大手メーカーが工場でつくる、かなりの食品がこの範ちゅうに入るでしょう。手ごろな値段で食べやすいから、いまや生活必需品です。
 ところがこの超加工食品は肥満と不健康の原因になる。やっぱり食事は、自分で買った材料を自分で調理するのがいいそうです(What are ultra-processed foods? What should I eat instead? September 27, 2022, The Washington Post)。

 アメリカのNIH(国立衛生研究所)が最近、興味深い研究を発表しました。
 被検者を2つのグループに分け、一方のグループには超加工食品だけを食べてもらう。もう一方のグループには、最初から自分でつくったものを食べてもらう。ともに食事の脂肪、糖、塩分などがおなじになるように調整します。それらを定量ではなく、「食べたいだけ食べる」ようにしてもらいました。すると、超加工食品のグループはあきらかに食べる量が多くなった。自分で調理するグループにくらべ、毎日500カロリー、マクドナルド・ハンバーガーのフライドポテトLサイズ1個分も多いカロリーを取っていました。
 当然、超加工食品グループは体重が増加します。一方、自分で調理したグループは体重が減り、コレステロールも下がりました。

 なぜこんなことが起きるのか、諸説さまざまです。
 一部の研究者は、超加工食品の「食べやすさ」が関係していると考える。スムーズであまく、おいしく、のどごしがいい。さまざまな添加物を加えたりすることで、脳が感じるおいしさを刺激しているのではないか。
 別の研究者は、超加工食品は消化吸収がいいけれど、血糖値の急撃な上昇をもたらすなど、むしろ問題だといいます。人間は本来、食べたものをゆっくり時間をかけて消化吸収するようにできているので、自然の摂理に反しているのではないか。

 いずれにしても、超加工食品には肥満と不健康をもたらす恐れがあります。やっぱり食事は原材料から自分で調理すべきなのでしょう。超加工食品のフルーツ・ヨーグルトではなく、プレーンのヨーグルトと果物をそれぞれ買い求め、砂糖を加えて食べるのがいいようです。
 手軽にすませるのは、自分を滅ぼすことになる。とはいえ手軽はやっぱり捨てがたいですよね。
(2022年9月30日)